「会社を辞めるかどうか悩んでいるんです…」 「彼(彼女)と別れるかどうか悩んでいるんです…」
一対一のセッションでお話を伺うと、結構多いのが、こんなご相談。
そんなとき、私がまず訊くようにしているのが
「一体何に悩んでいるんですか?」
ということなんですね。
そうすると、
「いやだから、辞めるか(別れるか)どうか悩んでるって言ってるじゃないですか(# ゚Д゚)」
と、返ってきたりもするんですが(それはそうですよね(笑))
それでも私はあえて、また冒頭の質問を繰り返します。
…いやね、別に意地悪でこんなことを訊いているわけではなくてですね…ちゃんと理由があるんですよ。
AかBかで悩んでしまうのは○○があるから
「AかBかで悩んでいる」というときは、一見、「AかBのどちらを選ぶか」で悩んでいるようにも見えます。
ですが、本当はそうじゃないケースが多い…と、私は考えているんですね。
そもそも、
「会社を辞めるかどうか悩んでいるんです…」 「彼(彼女)と別れるかどうか悩んでいるんです…」
という相談に来た時点で、すでに「辞める(別れる)」という選択がやや優勢なことが多いんですよね。
でも、決断しきれない自分がいる、だから悩んでいるんです。
じゃあなぜ決断しきれないのか?
それは、「辞めない(別れない)」という選択を残しておくことに<メリット>があるから。
メリットは人によって様々ですが、
たとえば…
- お金が得られる(or 失わないで済む)
- 安心感が得られる
- 親や世間から変な目で見られない
- 孤独にならなくて済む
などなど。(他にもいろいろありますが)
私が冒頭でお伝えした
「一体何に悩んでいるんですか?」
という質問は、
「辞める(別れる)とそのメリットがどうなっちゃうと思っていますか?」
っていうことを確認するための問いかけなんですね。
悩みの根本にあるのは、一つの思い込み
で、ここで本題なんですが。
「悩んでるんです」という言葉の根本にあるのは、
「一度それ(メリット)を手放したら、二度と私の手元には入ってこない」
という思いであることが非常に多いんです。
でも…実はこれ、思い込みなんですよ。えぇもうほぼ間違いなく。
…なんでこんなに断言できるのかというと…
私がそうだったから
です(笑)
私の場合は、ですが。
過去、会社を辞めるときや、おつきあいしていた彼と別れるときは、正直、割とためらいもなく決断することができました。
なぜかというと、
「この会社を辞めたとしても、一生無職ということはない。
仕事は世の中にたくさんある」」
「もし彼と別れたとしても、またいずれ恋愛はできるだろう。
出会いは求めればある」
という風に、
「ある」「なくならない」「(どうせ)また手に入る」
という前提があったから。
それは、大気中を漂っている「空気」に対して「やばい!!無くなっちゃう!」って常に心配したり、不安になったりしないのと同じような感じです。
…でもね、そんな私にも、どうしても手放せない<メリット>があって、ずっと決断できなかったことももちろんあったんです。
それは…
20代の頃、お金も時間も投資して必死で手にした「資格」でした。
そこで出会った「仲間」でした。
それは私にとっては「アイデンティティ」であり「居場所」だったんですね。
持っていても損はない。
むしろ良いことしかない。
居心地はとてもいい。
離れなきゃいけない理由がない。
…でも。
本当は、だんだんと、しっくりこなくなっていました。
大きな理由があったわけではありません。
お世話になった事実にも、好きだったという思いにも、何一つ違いはありません。
でも、そこにしがみついている自分自身に、違和感があった。
でも、そのことに、気づかないふりをしていました。
なぜなら、私の根っこに
「私には”居場所”を作る力なんてない」
「ここを離れたら私はひとりになってしまう」
「これを手放したら、私は私でなくなってしまう」
「そうしたら、もうきっと立ち直れない」
っていう強い思いがあったから。
決断できないのは、○○がないから
この根っこにある強い思いの正体はなんでしょう?
どうしてこんな思いが出てくると思いますか?
それは、自分への信頼感がないから、なんです。
私には○○できない。
私には○○を手にする力がない。
私はどうせ○○な人間だ。
いわゆる「自己イメージ」というやつですが、自分には何かを手にしたり解決したりする力がない、という強い前提を持っているんです。
前提が「ない」だから怖くて当然ですよね。
生まれてから死ぬまでずっと一緒にいる他の誰でもない自分を信頼できないんじゃ、それはもう、不安でしかないですよね。
でも、そんな自分でも、今置かれている状況や環境、人間関係には違和感があるから、そのままでいるのも苦しい…。
だから、「AかBか」決めたい自分と、決められない自分が葛藤して、悩みを引き起こしてしまうんですね。
…ということは、ですね。
冒頭にもあったような、
「会社を辞めるかどうか悩んでいるんです…」
「彼(彼女)と別れるかどうか悩んでいるんです…」
という悩みに対しては、「AかBのどちらを選ぶのが良いか」ということを決断するよりも、もっと前にやらなくちゃならないことがあるんです。
AかBか、決断するよりも前にやるべきこと
というのも。
仮にここで「じゃあこの会社やめちゃおう」「じゃあ彼と別れちゃおう」と決めたとしても、そもそも今の時点ではまだ自分を信頼していない状態なわけです。
その状態のままどちらかを選んだとして、この先どうなると思いますか?
選択して決断した瞬間は、スカッとしたようないい気分になれるかもしれません。
でも、きっとね、その決断をした後に、何かちょっとでも嫌なことが起こったり、思い通りにいかないことが出てきたら、こんなふうに思うんじゃないでしょうか?
「あの時、こっちを選ばなければよかったんじゃないか…」 「なんで私はこっちを選んじゃったんだろう…」
…いかにもありそうじゃないですか?(笑)
これこそが、自分を信頼していないからこそ出てくる言葉ですよね。
決断した自分を信じられるか
何においても、決めるという行為には、この前提が大事だと私は思うんですね。
だって、決めるのも、決めた後の人生を生きるのも、ほかでもない自分自身だから。
そして、AかBかで悩むことってめちゃくちゃ多いんですが、実際のところ「AかBのどちらかに絶対的な正解があるわけじゃない」というケースの方が多いんですよね。
どっちを選んだとしても、メリットもデメリットも両方ある、という場合がほとんどです。
だからこそ、もう一つ大事な前提が、これ。
決断したことを後悔せずに正解にしていく覚悟
…「覚悟」っていうとなんだか重たいですか?
でも「決める」って「覚悟する」ということとイコールじゃないかなって私は思うんです。
何かを決断するということは、時に何かを手放すことでもあります。
それには痛みを伴うこともあります。
だからこそ、
今よりも自分を幸せにしてあげるんだ!という覚悟
これ、ぜひ大事にしていけたらいいなぁと思うんですね。
でも、いきなり覚悟を決める!!ってそれこそ根性論みたいになっちゃって、具体的にどうしたらいいかわからなくなっちゃいますよね。
そこで、私の場合はですが、覚悟を育むために、
「自分を信頼するためにはどうしたらいいか」
ということを考えて、取り組んでみました。
具体的には、自分の心とじっくり会話をして、
自分の中の「ある」を探す
ということをひたすらやり続けました。
自分の心とじっくり対話をしてみよう
「これを手放したらひとりになっちゃうって本当?」
「本当に誰もいなくなっちゃうの?」
「そもそも今の居場所だって自分の力で手に入れたものだよね?」
「だったら、自分に力がないってどうして言えるの?」
「本当に必要だったら、また手に入れたらいいんじゃないの?」
そんなことを自分に問いかけ続けてみました。
そして…
「自分に力があると信じられとしたら本当はどうしたいと思ってるの?」
と、何度も何度も確認しました。
そうしたときに初めて、今まで固執してた資格や仲間、つまりアイデンティティや居場所だと思っていたものに対して、
「もう手放したい」
と、そう素直に思えたんです。
罪悪感も、不安感もなく。
まさにその時が、手放すタイミングだったんですね。
最初に迷い始めてから、本当の本当にそう思えるまで、実は2年くらいかかりました。
(…それはまぁ、時間かかりすぎですけどね(笑))
でも、
最初に悩んだときに無理やり決断しなくてよかった、と、今はそう思います。
決断できた自分に「よくやった」と心から言えたし、今までの居場所にも「これまで本当にありがとう」と、心から思えたから。
ちなみに、もしも↑のような対話を自分と続けた結果、「それでもやっぱり手放したくない、それくらい大事だ」という気持ちが湧いてきたとしたら、私は手放さない、という決断をしたと思います。
つまり、AでもBでも、どっちの選択をすることになってもいい、っていうこと。
その時に、どっちを選んだとしても、心から納得できて、自分を信頼できているかどうかが大事だっていうことなんです。
「会社を辞めるかどうか悩んでいるんです…」
「彼(彼女)と別れるかどうか悩んでいるんです…」
こういう時。
もちろん、すぐに決めるのも、悪くないです。
でも、決められるんだったらもうとっくに決めて動けているはず、ですよね。
悩むっていうことは、選択した先の未来にいる自分をまだ信じ切れていないんだと思うんです。
だったらまずは、
「自分に力があると信じられとしたら本当はどうしたいと思ってるの?」
「いつでも手に入れられるとしたら、今、本当はどうしたいの?」
と、自分に問いかけるところから始めてみるのもいいですよ。
大丈夫、あなたには答えを見つける力がちゃんとありますから。
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